台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―


「そりゃ気になるよぉ。
だって美玲ちゃんが爽真くんと上手くいったら、
紫苑くんが瑠奈のとこに来てくれるかもしれないでしょ?」


にっこり。
さっきの動揺を帳消しにするかのような笑顔。

紫苑が虚を突かれたような顔になって、濡れた蜂蜜色の毛先からぽたりと雫が落ちた。


「……崩れないね。そういうとこ、ホント好き」


薄く笑う唇が、甘く妖しく囁いてくる。

まつ毛が伏せる紫苑の目元が、捕食者のようにふっと細くなったのを見て、思わず息が止まった。


「だからこそ、見てみたいなぁ。
素の瑠奈ちゃんが、どんな風に笑ったり怒ったりするのかな、とか」


紫苑の目が、穏やかな水面を一瞥する。

砂地についた足元に、ちらちらと私の足が波に揺られて当たっていることに、妖しく唇を吊り上げた。


「――なんて、ね」
「きゃっ!」

唐突に紫苑が浮き輪を真上に引き上げて、私から取り上げる。

浮力を失った私は、どぼんと頭まで垂直に沈んだ。

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