台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―

冷ための海水との落差で熱っぽく感じる爽真の腕が、ぎゅっと私を抱き寄せる。

濡れた黒髪から覗く目は、驚いている紫苑を冷たく威圧している。


「――……」

紫苑は一瞬何かを言おうとして口を開きかけて、黙る。


向こうには待ちぼうけになっている美玲。

そしてさらにその奥では、番組のディレクターやスタッフも、何事かとこっちの様子を窺っている。


紫苑の目がチラッとそれを確認して――
諦めたように小さく息を吐いた。


「……わかった」

くるりと向きを変えて、カメラの待つ美玲の方へと歩いていく。

紫苑が歩いてできた波紋はすぐに波が消して、爽真と2人だけになった。


くっついたところから、溶けてくる爽真の体温。


濡れて張り付いた薄い布越しだからか、じわりと体の奥まで熱が染み込んでくる気がする。


「……怖かった……」


爽真にしか聞こえないくらいの声で、打ち明ける。

誰にも見られないように、水の中でこっそりと爽真に抱きついて恐怖をかき消すように縋った。

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