台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
「大和はさ、落ち着いた色のが似合いそうだよね。
……あっ、でもー……たまには明るい色も着とく?」
メンズの浴衣を次々端に寄せて吟味しながら、彩加が真剣な顔で唸っている。
そんな彼女の横顔に、隣の大和が意外そうな顔をした。
「なに。彩加が選んでくれるの?」
「えっダメだった!?」
「……いや、むしろ嬉しいっていうか……」
素で照れてる大和が、口元に手を当てて幸せを噛み締めている。
その空気に当てられた彩加も赤面する。
エアコンが効いているはずなのに、そこだけ熱帯みたいな温度になった。
――そして、その対極側では。
「爽真くん。浴衣の色、決めた?」
レディースコーナーのラックから、メンズコーナーに向かって美玲が遠慮がちに顔を覗かせる。
「……なんでもいい。テキトーに決めてくれない?」
「もう、投げやりすぎるよ。ちょっと待っててね……」
手に持っていた浴衣を戻して、爽真の側に美玲が駆け寄る。
ちょっと離れたところで、浴衣を選ぶフリをしながらそわそわと2人の様子を窺う紫苑。
またしても三角関係の火花が散っていた――。