台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―

「爽真くん、これはどう?」
「いいんじゃない?」

「……こっちは?」
「いいと思うけど」

「もう、わかんないよ」

美玲が次々と爽真に浴衣を持たせながら、クスクスと楽しそうに笑っている。

明るい色も暗めな色もあてがうけど、どれもちゃんと似合ってる。


さすが、センスある。私でも同じの選ぶと思う。

横目に2人のことを見ながら、心の中で小さく頷いた。


……さて、私は私の役割を全うしよう。

これからし紫苑を慰めに行く。

紫苑にもっとがっつけって、今朝ディレクターからもプッシュされたしね。


紫苑はぼうっと美玲と爽真を眺めている。

演技に身が入ってなくて隙だらけ。
珍しくそんな印象を受けた。


「しーおんくん♡」


背後にこっそり迫って、後ろから顔を覗かせた。

小さく驚いた紫苑が、ハッとした顔をして振り返った。


「びっくりした、瑠奈ちゃんか……」


紫苑は笑うけど、笑顔がぎこちない。

単純に落ち込んでる演技なのか、それとも、昨日のことをまだ引きずってるのか。

後者だとしたら、意外と普通の男子なのねって感じだけど。
危険度が薄れるから、そっちの方がありがたい。

「浴衣決めたぁ?瑠奈が選んであげよっか」

隣に並んで、甘ったるい声を出しながら浴衣に指をかける。

紫苑から、ひしひしと捨て犬みたいな弱った視線を感じる。
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