台本通りの恋はしない!
足元が瓦解していく感覚。
立ってるのが苦しくなってきた。
ここで台本無視を強行突破しても、業界内で厄介者のレッテルを貼られて終わり。
台本通りにやっても、人間性終わってるやつって世間から嫌われて仕事が来なくなる。
どっちをとっても、詰んでいる。
(……だったら求められた仕事をしよう。
一度受けた仕事。やり切るのがプロってもんでしょ?)
悔しさを握り込んで、一礼して巻さんの部屋を出ていく。
口を開いたら泣きそうだった。
だから、走って、みんなのいるリビングに戻った。
――……
(あ――ダルい。ちゃんと笑える気がしないわ)
リビングのドアノブに手をかけて、そこで動きが止まる。
戻ってこい、プロ意識。
それだけが、今の私の心の支えなんだから。
深く息を吸って、しっかりと全部吐き出す。
こうなりゃヤケクソだって、勢いよくドアを開けた。