台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
「……観るのやめる?」
「いや、やめない」
「……そっか」

「……」

すん。
なんか急に、頭の中が静かになる。

ていうか、胸の辺りが落ち着かない。


私の肩口でたわむ黒髪は、思ってたより柔らかそう。

疲れてボーッと画面を眺める目は、伏せるまつ毛に隠れて感情が読み取れなかった。

肩にズンと遠慮なく乗る頭の重さと、より濃くなる石鹸の匂いが、なんか生々しくて。


ちゃんと観て分析したいのに、ふわふわと思考がまとまらない。


それでも、爽真が観ると言うから再生し続ける。

観てる意味あるの?これ。

ただ一緒にテレビを観ているだけみたいな感覚だ。


『紫苑くんは、いちご好き?』

山盛りのかき氷を前に、美玲と紫苑が並ぶシーンが映る。

ダイニングテーブルに並んだカラフルなシロップに、何種類もの果物。
2人はそれを吟味している。

『好きだよ。かき氷のシロップもいちご派』

『私も。……でも知ってる?あれって全部同じ味なんだって』

『えっ、……そうなの?』

ウフフ、と澄ました笑い声が聞こえてきそうな、2人ともにこにこのほのぼの空間。


>>きた――――
>>ほんとかわいい。この2人。
>>ピュア恋。にやにやする

コメント欄の温度も急に上がる。


さすがメインカップル。
今回も確実に恋の応援団を増やしている。


(コーヒーの時も思ったけど、カメラの前の美玲の紫苑の会話って割とワンパターンだな。)

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