台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―

ポス、とスマホをソファの座面に置いた音がする。

完全に向き直るタイミングを失ってしまった私は、
爽真の視線を感じながら黙って後ろを向き続けている。

空いた爽真の手が、ゆっくりと顔に向かって伸びてくる。


そして、無遠慮に私の頬を摘んだ。

「真っ赤」

覗き込んできたその顔は、意地悪く笑っていた。

「うっ……」

ヒュッと呼吸が引っ込んで、すでに上がりきっていた体温がさらに上がる。

堪えきれずに眉が引き攣って、反射的に立ち上がった。


「うるさいうるさいっ
しょうがないでしょ、あんな恥を全世界に晒したんだから!」


立ち上がった勢いで、爽真の手も離される。

意味もなく衣装ラックの方に歩いていく私を、爽真が余裕そうに追いかける。

「暗闇でもわかる赤面って、相当だけど」
「うるさいってば!」

危うくラックにぶつかりそうになったところで立ち止まって、両耳を塞ぐ。

すぐに隣に追いついてきた爽真が、やれやれって顔して笑みを漏らした。

「あ」

爽真の視線が、目の前に並ぶ浴衣に落ちる。
今度はなんだと、そっと手を外して同じところを見た。
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