台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
「やだ〜っ瑠奈ったら緊張しちゃった⭐︎
わぁっ。紫苑くん、浴衣姿かっこいいね♡
さっすが瑠奈♡センスいい♡」
お砂糖ボイスで矢継ぎ早に捲し立てて、紫苑の前まで一直線に走る。
爽真の前を横切る一瞬、視界の端に初めてその姿を見たけど、どんな顔をしていたかまではわからない。
ずっと目を奪われて、自分に見向きもせず過ぎ去った私の残像に、静かに目を伏せていたことも。
「元気ないかと思ったけど……やっぱ瑠奈だわ」
大和の隣で、彩加が呆れてそっぽを向いた。
きゃぴきゃぴしたまま、目の前の紫苑に笑いかける。
「どーお?紫苑くん。瑠奈の浴衣♡」
袖口を握って、両腕を軽く開いてひらりと一回転。
「――……、」
紫苑は、目を見開いて藍紺の浴衣を纏った私を見つめている。
その目がようやく瞬きを思い出した頃。
やっとの思いで口を開いた。
「――うん、……似合って、る」
……なに、そのガチトーン。
口元を押さえて、逸れそうな目を一生懸命私に縫い付けて。ぼそりと呟くように落とした低い声。
紫苑が恋する少年みたいな顔をするから――
思わず心臓がキュッと音を立てて締まった。