台本通りの恋はしない!

3年前、14歳の夏休み。

映画を観た帰り、駅前でスカウトされた日のことを今でも覚えてる。

「芸能界、興味ありませんか?」

胸が跳ねた。

ずっと女優になるのが夢だったから。

映画の中の世界を生きる人になれるんだって、本気で思った。


――なのに。


あれから3年。

私はまだ、ほぼ一般人のままだ。

オーディションは山ほど受けた。

レッスンも研究も、自分磨きも続けた。

それなのに、チャンスの女神が微笑んでくれたことは一度もない。


――というか、
女神の微笑む先は、いつも初めから決まっている。


どんなにいい演技をしても、ヒロインを勝ち取るのはいつも大手事務所の子。

わかりやすすぎる出来レース。

それでも、いつか、誰か1人くらいは、
弱小事務所所属でも実力で起用してくれる!

……そう信じて今までやってきたっていうのに。


「事務所潰れて女優人生終了――
なんてオチ、誰が納得するんですかッ!」


がらんとしたフロアに、私の大声が反響する。
切れかけた蛍光灯がジジ、と音を立てて照明を揺らした。
< 4 / 12 >

この作品をシェア

pagetop