台本通りの恋はしない!
「……ごめんなさぁい。ちょっと聞き逃しちゃった」
まずい、考え事に集中してた。
「もう、瑠奈ちゃんったら」
可愛く手を合わせる私を、美玲は笑って受け止める。
彩加と陸はすごい苦い顔してるけど。
わかる。すごい奴だよね。
だけど手は緩めない。
ひょこっと顔を覗かせて、二つ隣の爽真のシャツの袖を軽く引く。
「爽真くん。もう1回一緒に教えてもらお?」
上目遣いのスマイルに、また場の空気が止まる。
ぱっちり開いた私の瞳を受ける爽真の目は、気怠そうなまま微動だにしない。
けど、ほんの一瞬――眉間がぴく、と動いた気がした。
「……俺はちゃんと聞いてたから」
ぱっと腕を振り払って、私のことを冷たくあしらう。
なにコイツ……見え方とか意識しないの?
思わず演技も忘れて、唖然とする。
周りの空気も凍ったままで、誰もがこの空気をどうしていいかわからなくなっている。
爽真だけは、何事もなかったかのように飄々としていた。
「あ、あ――!ほら!もう一回言うから、ちゃんと聞きなよ?瑠奈!」
彩加がパンパンと手を叩いて、強制的に空気の流れを呼び戻す。
みんなもつられて愛想笑いして、一応その場はまとまった。