台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―

――……

「あー、楽しかった。じゃあね、瑠奈ちゃん。
また明日」

「うん♡また明日ぁ……」

ゆるっと手を振って階段を上がっていく紫苑を、笑顔で手を振って見送る。


(明日も来る気なのか……)


そう思ったら、ドッと気が滅入る。

ゆらりと幽霊みたいになっている爽真も、階段に足をかける。

今捕まえないと消えてしまいそうで、紫苑が前を向いている隙にそっと爽真の手に触れて気を引いた。


驚いた顔をした爽真が、音もなく振り返る。


(あさ、ろくじ)


その瞬間に、声に出さず口の動きだけでそう伝える。


来てね、って、爽真ならきっとわかってくれるはず。


爽真は一つ瞬きをする。それが、わかったって合図なんだと思った。


紫苑にバレないように、ほんの数秒のやりとり。


爽真はすぐに前を向く。
そのまま紫苑の後ろについて、男子フロアに消えていった。
< 404 / 435 >

この作品をシェア

pagetop