台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
探り合った分ゆっくりとした歩幅で、歩道と道路の境界もない道を歩く。
シャクシャクと、氷菓子を口に含む涼しげな音がやけに大きく夜道に響いた。
数分もせず、爽真はすでに溶け始めているアイスを平らげてしまう。
最後の一口に冷たそうに咀嚼を繰り返していた爽真の喉元が、こくりと動く。
ただの木の棒になったそれを空袋に戻すと、ポケットに突っ込む。
暗い道の先を見ていた夜色の瞳が、ゆっくりと私に向いた。
「あんな質問、繰り返した意図は何?」
アイスを口に運びかけた私の手が止まる。
あんな質問とは多分、行き道の相性一致チャレンジのこと。
ざわりと嫌なふうに心臓が騒ぎ出す。
爽真の顔も見れずに、私は薄い作り笑顔を浮かべた。
「……相性ワーストペアって印象が、強くなるようにしようと思っただけ。
そっちのほうがおいしいでしょ?エンタメは極端な方が盛り上がるの」
しばらく爽真と話していなかったせいか声の出し方に迷って、声色に“瑠奈”と私が混ざる。
爽真の顔が、苦しそうに歪んだ。
「俺の前で、その作った顔と声はやめろ」
切実なのに強い口調に、びく、として足が止まる。
怖かったわけじゃない。
ただ、心臓が思ったより大きく跳ねたから、反射的に止まってしまった。
私の動きが止まったのを見て、爽真の目がより切なそうに細くなる。
なのに、完全に私と向き合うように体の向きを変えて、道路の真ん中で立ち止まった状態になった。