台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
「瑠奈は勉強の方が得意だし、苦いものは苦手だし。
“映画観るなら、断然映画館派だ”って言ってただろ」
昼間のミッション――爽真、私の解答覚えてたんだ。
私自身ですら忘れてるよ。
だって右と左でしか、判断してないんだもん。
真向かいに立たれたら、目なんて逸らせない。
痛いくらい真剣な表情を私に向ける爽真の目に射止められて、より強く金縛りにあってしまった。
「演技なのはわかってる。
けど、そんなどうでもいいことまで嘘吐く必要ないだろ。
それなのに、俺と合わせないためには本音を使うし――
瑠奈は一体、何がしたいわけ?」
つうっと、甘いソーダの香りが溶けた砂糖水が棒を握る手に染み込む。
――爽真を、守りたい。
答えなんて、心の中では即答してた。
けれど、多分爽真はそれを喜ばないから。
そのための手段を、目的にすり替えないといけない。
「美玲、が……」
心の準備が整わないまま、咄嗟にまとめた考えを口にする。
「爽真を選べるようになったって。
それで生じる齟齬を、正そうって……」
「――それ、」
言い訳じみて歯切れの悪い私の言葉を、爽真の一言が鋭く遮る。
「誰に聞いたの?」
(――あ。怒った)
切れ長の目が座ってより鋭利になって、口元から感情が消えている。
低いトーンも、真っ直ぐ立つ姿勢も、圧を出しているのに切なそうで――
無意識に手が、爽真の頬に伸びかけた。
『爽真ともずっと、その距離感で居続けたの?』
紫苑の言葉がリフレインして、ブレーキがかかる。
この触れ方は、恋人でもない異性にしてはいけない距離だった。