台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
「……風の噂?」
「そんなわけないだろ」
「美玲のあからさまな態度でわかるよ」
「違和感は拾えても、そこまで正確に当てるのは無理だろ」
「……」
鋭い。逃がしてくれない。
分の悪さに無意識に一歩後退ったのを、爽真が大きな一歩で帳消しにした。
「情報源は、紫苑?」
ドッと心臓を殴られる。
図星。
契約。
協定。
告白。
その全部の事実が一気に脳みそに押し寄せて、動揺が全て目の揺らぎに出てしまった。
「……紫苑と2人で、何してんの」
詰めてきたくせに、爽真の目が一瞬見開いて、ふっと弱まって、少しトーンダウンする。
私は焦りに揺らいだまま、爽真に合わせた焦点が定まらない。
「何も……いつも通りに仕事してるだけだけど」
「嘘だ。以前にも増して距離近いだろ」
「クランクアップが近いから、本腰入れてるだけ」
「で?“仕事で”オフにまで映画行くの?」
「なんで知って……!」
あ。
口を押さえたけど遅すぎる。
爽真の目が、また熱を宿して鋭くなった。
「アイツのこと、本当はどう思ってんの?」
「どう……って……
っていうか、あれは偶然会っただけだし……っ」
「じゃあ俺に隠す必要なかっただろ」
「そ、れは……!」
“なんか気まずくて”。
その気まずさの原因を、定めなかった時なら言えた。
けど、今は。
“爽真を好きだから、気まずかった”
その因果をハッキリと知っているから、言葉が後に続かなかった。