台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―

言葉に詰まって下を向いた私を見つめて、爽真の熱がふっと冷める。

表面が溶けて棒に留まれなくなったアイスが、私の握った手に落ちてくる。

知らないうちにどろどろに溶けた砂糖水が、手の内側も外側も濡らして手のひらから溢れそうになっている。

手首まで伝いかけたところを、爽真の手が掴んで堰き止めた。

「……垂れそうだったから」

「え……?あ、」

手のひらに留まれなかった砂糖水が、爽真の手に滲んでいく。

もう棒は意味もなさず、私の手で支えられているだけのアイスは容赦なく冷たい。

――なのに爽真の手は熱いから、感覚がおかしくなりそうだ。


「……あとは俺に、何を隠してんの」


トーンを落とした爽真が、零すように聞いてくる。

手首を掴む手の強さとは裏腹に、私に落とす視線は儚くて、辛そうだ。

「……あ、……」

瞬きを忘れた目を、爽真から離せない。


あれだけ隠さなくちゃいけないと思っていたのに。

なにを、どれから。

そんな考えが押し寄せて――
呆然としている唇が、小さく息を吸って全てを白状しかけた。


――そんな数秒の迷いすら、爽真には焦れる間に感じられたらしい。

手首を掴んでいた爽真の指が、アイスの棒を握り込んだ私の手の間に割り込む。

強引なのに柔くて甘い感触に怯んで、指が解ける。
平たい木の棒が、アイスごと滑り落ちていく。

ぱしゃんと足元でそれが弾けたと同時――
爽真の指が私の指に絡んで、しっかりと握りしめてきた。
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