台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
「俺も瑠奈に、ちゃんと言いたいことがある」
熱っぽい視線。どこか緊張を隠しきれない顔。
さっきまで冷静な説明モードに切り替わっていた胸が、また勝手に心拍数を上げた。
「でも瑠奈が仕事を完遂したいことも知ってるし、俺は俺でケリをつけないといけないこともあるから――」
絡む指が、優しく私の手を握り込む。
手の力に負けないくらい、ついだ爽真の声色は優しかった。
「3日後。撮影が全部終わったら、言わせてほしい」
聞いた瞬間、きゅっと胸が締まる。
ときめきと、喜びと……罪悪感。
3日後――爽真が用意してくれた言葉を、私、聞きたかった。
……だけど、ごめん。
「うん、わかった……」
返事を聞いて、ホッとした顔をする爽真にチクチクと胸が痛み出す。
手は、握り返せない。だけど解くこともできない。
「もう全部話したなら、今日は終わるか。
また倒れられたら困るしな」
「うん、ありがと。そうしよ」
2人一緒に立ち上がると、繋いだままの手に同時に視線を落とす。
なんとなく気まずくなって、でも離し難くて、時間をかけてぎこちなく離した。
階段下までの距離はあっという間。
新しく会話をするゆとりもない。
遂に別れが来ると言う時、また向き合って黙った。