台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―

美玲がゆっくりと振り返る。
息を吐いては吸って、押し上がてくる感情を堪えて。

誠実に向き合おうとしてくれているのに、その瞳の奥にはやっぱり別の誰かが消えきらないその人に、不思議と笑みが浮かんだ。


「……爽真くんは、そんな人じゃなかったのにな」


「?」

小さすぎる呟きは、爽真の耳に届かない。

目の前にいるのは、もう以前から知っていた全てに無関心で飄々として見えるあの人ではない。

ただ、それが彼にとってとてもいいことのように思える気がするから。


さよなら、初恋。
誰にも媚びずに流されない強さを持った、
孤高の憧れの人。


「私、爽真くんが好きでした。
……だから、その。……ありがとう」

ミルクティー色の髪を揺らして、可憐に笑う。
返事はすでに受け取っているとばかりにすぐに背を向けて、美玲はリビングへと走る。

――2人の2ショットタイムは、予告通り。

クールな一匹狼を、光へ導いた聖なるヒロイン。
その設定は崩さずに、かといって恋愛軸には振れない。

爽真が今まで一度も“美玲に恋をしている”と言葉にしたことがなかったことが、その結果の筋を通した。

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