台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―

「あの……っ、こんな空気になるの、瑠奈ちゃんは望んでいないと思います……っ!」


追い詰められた小動物のように唇を震わすひよりに、夜色の瞳と蜂蜜色の瞳が鋭く刺さる。

“お前に何がわかる”
“そんなことわかっている”

そのどちらともが篭った視線だった。


「あの、あの……っ。私は、寂しいですけど本当の瑠奈ちゃんがどんな子だったのかは知りません……っ。
でも、あの動画を観て、やっぱり思ったんですっ」


下ろしたひよりの手は、勇気を出せと握られている。
あどけなさの残る丸い瞳が少し細まって、力強く前を見ていた。


「瑠奈ちゃんは、みんなを守るヒーローですっ!
下着を落とした私を庇ってくれたあの瑠奈ちゃんは、嘘じゃなかったって。少なくとも、私の前にも“本当”はあったって、そう……」


“思った”と言う前に、ひよりの言葉が静かに萎んでいく。

爽真の顔はまだ険しいまま。
紫苑は白けてもう外を見ている。


「え゛え゛え゛ッ!!あれ、ひよりのだったのか!?」
「もう陸、黙ってようね」


赤面して見当違いな方向に驚愕し出す陸の口を、また大和が優しく抑える。

「でも、あれ」と大和での中でもごもごやってる陸をよそに、何かに迷って俯いていたひよりがまた顔を上げた。


「瑠奈ちゃんは、強いです。私の憧れです。
けど、強くない部分があることも知ってます。
……アオバケの3話を一緒に観た時――瑠奈ちゃん、泣いてました」

言って良かったのか、どうか。
ひよりの目が、迷いに大きく揺れている。

紫苑は既知とばかりに変わらぬ態度。
爽真が思わず立ち上がりかけて、椅子が動いた音がやけに大きく反響した。
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