台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
「大掃除の時!カメラの前ではサボるくせにスタッフさんが消えた瞬間張り切り出して!そっちのがお得って言ってたけど、そういう意味だったの!?」
全てが繋がったとばかりに、彩加が晴れやかな顔をする。
その横で、ひよりを慰める陸が苦悶の顔で視線を宙に彷徨わせた。
「……そこをいくと、俺はそういうのないっスね……」
「あるでしょ、陸も」
冷めた顔をした紫苑が目も合わせずに両断する。
「下着事件。陸、香月さんにからかわれてたでしょ。
あれ、多分陸が気にしないようにわざと煽ったんだよ」
その言葉に、陸が固まる。
(それなら、俺が謝った時のあれも……?)
と、思考がわかりやすく顔に浮かんだ。
「わ……私もね、瑠奈ちゃんに守ってもらったの」
爽真と紫苑に挟まれた美玲が、その真ん中で背筋を伸ばす。
凛と澄んだヒロインの声に、ざわつきが止んだ。
「紫苑くんが言ってた最初の破綻の原因は、私なの。
それを瑠奈ちゃんが、上手くやってあげるって……
それが、紫苑くんと組んだ軌道修正だったんだよね……?」
自信なさげに美玲が紫苑の方を向く。
黙ったままの紫苑は小さく息を吐いて、何も言わずに頷いた。
美玲がみんなのことを見回す。
それから、胸に両手を置く控えめな仕草はそのままに、表情を引き締めた。
「瑠奈ちゃんは、ずっと優しかった。
それは、裏でも表でも変わらない。
あの動画で言ってたような、身勝手な悪女なんかじゃない」
美玲の目が、今度はチラリと爽真を見る。
誰の目にもわかりにくい無表情。
けど、その目に確かに感情を宿している爽真を。
「――で、合ってるよね?爽真くん」