台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
「……でも、私には、もう1人気になっている人がいる。
このあとその人とも話して、私は私の気持ちに結論を出すね」
強くて気高い、ヒロインの顔。
無風だった爽真の顔が少し驚いたように揺れて、それから静かにまた無になった。
「……俺は、美玲に感謝してる」
真剣な思いには、同じだけの真剣さを。
爽真の目は、真っ直ぐに美玲のことを見ている。
「独りで距離を置こうとしてる俺を、美玲だけはいつも追いかけてくれた」
その行間に、何が詰まっているのか。
表に見える話だけではない気がすると、ほんの少し胸が軋む。
「けどそれが恋なのかと言われると、俺は頷けない」
息が、止まる。
この人は、いったい何を言い出すのか。
「美玲の結論に、俺が口出しする権利はない。
でももし、そこが俺になるんだとしたら――悪いけど、俺は応えられない」
心臓が、止まる。
こんな台本無視、なんで許されているの?
抜き出される美玲の表情は、少しの驚きもなければ動揺もない。
まるでそれをわかっていたかのように、静かに、美しく、微笑んでいるだけ。
「うん。それでも私、自分自身に正直に、ちゃんと答えを出すよ」
「……ん、応援してる」
そう言って、綺麗に終わっていくワンシーン。
なんの言及も歪さもなく、紫苑と美玲の中庭のシーンに移行していった。