台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―

「……それで?批判しに来たんでしょ。どうぞ?」


顔を逸らしたまま、返ってくる言葉を待つ。
目を合わせなければ、何を言われてもきっと耐えられる。

爽真が一歩距離を詰めた、コンクリートが擦れる音がした。


「……何も言わずに勝手に消えるな」

毅然とした低い声に、肩が跳ねそうになるのを堪える。


「ひとりで勝手に全部の責任を背負うな」


ズキンと胸に、痛みが落ちる。
強気に寄せた眉が、僅かに弱気を滲ませた。


「人の感情を勝手に決めるな」


爽真がいま、どんな顔をしているのかわからない。
強情に目を合わせようとしない私に、爽真の手がそっと伸びる。

「……これで、最後」

警戒していなかった頭に、爽真の手がポンと乗る。
私の頭の形に沿うように、死ぬほど優しく手を添えられた。


「好きって言うなら、直接俺に言え」

< 807 / 816 >

この作品をシェア

pagetop