台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
強がって夜闇に投げていた目が、動揺に揺れる。
強硬に組んでいた腕が思わず解けかけた瞬間――
私の髪を滑り降りた爽真の手が、私の手を捕まえた。
温くて、熱い手の温度に包まれる。
そしたらもう、そっちを見ずにいられない。
致命傷をくらって崩れた顔のまま、爽真の方を向く。
瞬間、強く引き寄せられて――気付いたら、爽真の腕の中にいた。
世界が止まったような感覚。
頭が真っ白になって、恋しい石鹸の香りに満たされる。
ぎゅっと強まる腕の力と、肩口に埋まる爽真の頭。
「あんな伝え方あるか?
1人で勝手に終わらせんな」
耳元に直接届いたのは、力強いままなのに急に痛いほど切なくなった爽真の声。
ぐちゃぐちゃの感情が胸に一気に押し寄せて――
目の奥がぐっと熱くなる。
心が溶けて、崩れていく音がした。
「す、き……爽真のことが、大好き」
耳元に届いていた呼吸が、ひく、と止まった気配がする。
それが本当なのか、私の余裕がなくなったせいなのか、どちらなのかはわからない。