台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
――その中に、爽真もいる。
その手元には、型抜きを駆使した可愛らしい砂の城。
形を整える手が止まって、向こうを向いた瑠奈の背中をじっと見ている。
城の周りに白い貝殻を並べながら、美玲はそんな爽真に静かな視線を送る。
会話がなくなった2人にも波が迫る。
瞬間、美玲がぺたんと尻餅をついた。
「きゃっ」
パシャンという水音と美玲の声に、爽真が反応して振り返る。
美玲は砂浜に座り込んで、腰から下がずぶ濡れになっていた。
「……平気?」
「うん、ありがとう……」
爽真が差し伸べた手を、美玲が取る。
スカートの裾から水を滴らせ、「やっちゃった」と美玲は恥ずかしそうに笑った。
美玲が立ち上がると、爽真はすぐに手を離して背を向ける。
美玲が「あ」と小さく声を上げると、無表情のまま振り返った。
「タオル。とってくる」
素っ気なくそう言って、シェアハウスの見える方向へさっさと歩いていく。
制限時間まで、後数分。
その背中を、美玲は目を細めて見送っていた。