台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
「顔にも砂、ついてるけど」
その手にはタオル。
何してんの?
美玲はどうした。
「…………」
そして今も不服そう。
この人はどうやら、いつでも私に文句があるらしい。
「ごめんねぇ、爽真くん。
瑠奈今忙しいから。あとでねー」
早く陸達のところに乱入しないといけないし。
爽真に見向きもせず、今度は頬についた砂に着手する。
すると、爽真は諦めたのか体の向きを変える。
足を一歩踏み出すポーズをとって、ほとんど口も動かさずに囁いた。
「今日0時、リビング」
幻聴かと思うくらいの短い言葉に、ぴたりと砂を払う手が止まる。
――なんで?
意図がわからず、考え込む。
ゆっくりと顔を上げた頃には、爽真はもう美玲の元に辿り着いていて、タオルを差し出していた。
申し訳なさそうに笑う美玲に、淡々としてそうに見える背中はどんな表情をしてるんだろう?
そして、私はまた、何か文句を言われるのか。
ちょっとだけうんざりしながら、頭の片隅ではぼんやりとストーリーが進行してるなって思っていた。