台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―

「顔にも砂、ついてるけど」

その手にはタオル。


何してんの?
美玲はどうした。


「…………」


そして今も不服そう。

この人はどうやら、いつでも私に文句があるらしい。


「ごめんねぇ、爽真くん。
瑠奈今忙しいから。あとでねー」


早く陸達のところに乱入しないといけないし。

爽真に見向きもせず、今度は頬についた砂に着手する。
すると、爽真は諦めたのか体の向きを変える。


足を一歩踏み出すポーズをとって、ほとんど口も動かさずに囁いた。


「今日0時、リビング」


幻聴かと思うくらいの短い言葉に、ぴたりと砂を払う手が止まる。


――なんで?


意図がわからず、考え込む。

ゆっくりと顔を上げた頃には、爽真はもう美玲の元に辿り着いていて、タオルを差し出していた。


申し訳なさそうに笑う美玲に、淡々としてそうに見える背中はどんな表情をしてるんだろう?

そして、私はまた、何か文句を言われるのか。


ちょっとだけうんざりしながら、頭の片隅ではぼんやりとストーリーが進行してるなって思っていた。


< 89 / 149 >

この作品をシェア

pagetop