台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
「瑠奈、びっくりしたよ」なんて困り顔をする私を前に、爽真は微動だにしない。
まっすぐ整った眉だけが不服そうに歪んだ。
「“そう”じゃないだろ」
「……なにがかなぁ?瑠奈わかんない」
言いたいことはなんとなくわかる。
だけど、その要望は聞かない。
この間素を出したのは、特例。
貸し借りがなくなった今、この家の中で私が演技を崩すことはあってはならない。
爽真が一歩私に詰め寄る。
恋人みたいな距離感。だけど私は動かない。
下ろした髪は“悪役の瑠奈”の巻き髪。
あの時より、ちょっとだけちゃんとしたメイク。
そんな私を見下ろして、爽真が小さく息を吐いた。
「素と違いすぎ。なんでお前だけそんななの」
お前……“だけ”?
その言葉に笑顔が途切れる。
何を言われても“悪役の瑠奈”を貫く、それだけを考えていた頭に別の思考が挟まった。