台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
「待てって。悪かったから」
子供を宥めるような声。
「はぁ?謝っても許さない――……」
思い切り腕を払おうとして振り返る。
鼻先が触れるほど近くに爽真の顔があって、ドキンと心拍が跳ね上がった。
「――っ、ち、」
深い夜色の瞳と視線が絡んで、ヒュッと喉が鳴る。
それも悔しくて、無理矢理息を吸い込んだ。
「近いわっ!」
小声ながらも鋭く言葉をぶつける。
今度こそ腕を振り払って、一歩分飛び退いた。
悔しい悔しい!
こんなことでペースを乱されるなんて!
「……そっちが急に振り返るからだろ……」
爽真の呆れ声。
チラリとその顔を伺えばその通りの顔をしてるから、バツの悪さにギリと唇を噛んだ。
「話は最後まで聞けよ。誰もテキトーなこと言ったなんて言ってないだろ」
腕の拘束は解かれない。
離したら逃げるとでも思っているのか――
かなりしっかりと握られている。
「……どういうこと?」
私も警戒を緩めない。
爽真を睨みつけたまま、一応立ち止まった私を見て爽真は少し安心したように息を吐いた。
「白石美玲」
まつ毛が伏せる爽真の切れ長の瞳が、じっと私を見つめて冷静にその名を挙げる。
「アイツと俺は同じ事務所。
元から顔見知りなんだよ」