台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―
「あっ!そうだ、でも紫苑!
紫苑はなんで素だって思うわけ!?」
苦し紛れに反撃できそうなポイントを思い出す。
“紫苑”
そう呼んだ私の声に、爽真がぴくりと反応する。
そして、あっという間に例の不服顔。
なんなの?急に。
わからないけど、チクリと刺すようなジト目にたじろいでしまった。
「……同室でずっと一緒にいるけど、アイツは常に性格変わらないから」
視線を私から動かさないまま、ぶっきらぼうに言い捨てる。
一方私は、ついに見つけた綻びに、にやりと口角を吊り上げた。
「根拠うすっ!徹底して演技してるだけかもしれないじゃん。
そうだったとしたら、“紫苑”だって私と同じ――……んッ」
嬉々として喋っていた口を、爽真の手で塞がれた。
さらりとした手のひらの感触が、温い温度が、
唇から伝わってくる。
びっくりして見上げた爽真は、拗ねた子どもみたいな顔をしている。