一途な社長に溺愛を教え込まれた夜
社長はそう言うと、静かに立ち上がり、私の前まで歩いてきた。

その体躯の影が、私をすっぽりと覆い隠す。

「今回の失敗は、いい薬になっただろう。次は誰と、どんなプロジェクトを背負うのか。それを忘れるな」

「……はい。心に刻みます」

「分かればいい。……で、君はいつから動き出すんだ? 今すぐか?」

社長の言葉には、どこか追い立てるような、けれど突き放すのではない、温かい厳しさがあった。

彼が私を評価し、期待してくれている。

その事実が、凍りついていた心に灯をともす。

「はい! すぐに、次のアポイントを取りに行きます!」

私は深く、もう一度頭を下げて、踵を返そうとした。

その時、背後から社長の声が聞こえた。

「高梨」

「はい!」

振り返ると、彼は少しだけ口角を上げていた。

本当にわずかな、けれど、冷徹な仮面の奥に隠された、私だけに向けられたような微笑みだった。

「期待している」
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