一途な社長に溺愛を教え込まれた夜
その一言で、私の背筋には一本の芯が通った。

失敗した。でも、終わったわけじゃない。

この人は、私に何を教えようとしているのだろう。

ただの営業目標の達成ではない、何か別の、深い意味がある気がしてならない。

私は社長室を出た。

廊下の窓から見える午後の日差しが、先ほどまでとは違って眩しく感じられた。

長い長い謝罪と赦しの時間は、私の人生の転換点となる夜の始まりだったのかもしれない。

私は営業部のデスクに戻ると、深呼吸をして受話器を手に取った。

黒瀬慧という男の期待を裏切らないために。

そして、あの冷たい社長の瞳を、次はもっと近くで熱くさせるために。

私の戦いは、ここから始まる。

受話器を握りしめ、心臓の音を遮断するようにして私は叫び続けた。

「高梨です! 御社の抱える物流コストの課題、必ず私の手で解決策を見出します! ……ええ、もちろん、御社のお力になります!」
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