一途な社長に溺愛を教え込まれた夜
慌ててシフトを入れ、駐車場を出た。

車の流れに乗るたびに、横顔を盗み見る。

彼は前を向いたまま、何も言わない。

その沈黙が、逆に私の闘志に火をつける。

「社長……。なぜ、そこまでしてくださるんですか」

信号待ちの間に、私は意を決して尋ねた。

「あの億単位の契約を逃した私を、なぜ」

「さあな」

彼は視線を私に移すことなく、窓の外を見つめたまま答えた。

「ただ、才能がある人間が、一度の失敗で腐っていくのを見たくないだけだ」

その言葉は、冷たいようでいて、胸の奥をじんわりと熱くさせた。

「……私の営業手法、今の時代に合っていないかもしれません」

「手法などどうでもいい。大切なのは、君が相手の懐にどこまで入り込めるかだ。高梨、おまえは人の心の機微には疎いが、情熱だけは人一倍ある」

彼の言葉には、不器用な肯定が込められていた。

「……情熱、ですか」
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