一途な社長に溺愛を教え込まれた夜
「……私が、ですか?」

「他に誰がいる。今日の商談を一番近くで見ていたのは君だ」

私は、やられたと思った。

彼は、ただ契約を取るためだけに私を連れてきたんじゃない。

私に、失敗した担当者として、自ら「プランの不備」を認めさせ、そしてそれを改善する当事者としての責任を教えたのだ。

「……承知しました。必ず、誰もが納得できる新しいプランを完成させます」

私の言葉に、黒瀬社長はわずかに唇を緩めた。

「ああ。期待しているぞ、高梨」

車内を流れる夜風が、少しだけ熱を帯びているように感じた。

大型契約の獲得。

でも、それ以上に大きな「宿題」を、私はこの人から受け取った。

冷たい冷徹な社長、その仮面の奥にある熱い情熱に触れてしまった今、私はもう以前の私には戻れない。

車は夜の街を滑るように走っていく。

隣に座る彼の横顔を見つめながら、私は自分の胸の中で大きく膨らむ。

名前のない感情を隠そうともせずに、ただ強く前を見据えた。
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