一途な社長に溺愛を教え込まれた夜
目が合った瞬間、社長は眉をひそめて立ち上がった。

「高梨、どうした?」

高梨。

昨日、あんなに甘く名前で呼んでくれたはずなのに。

今の彼の声は、あまりにも平坦で、いつもの「社長」の声だった。

私の胸がズキリと痛む。

私はあくまで、彼にとっての『営業部の高梨美優』に過ぎないのだ。

「いいえ、何でもありません。失礼します」

私が急いで頭を下げ、その場を立ち去ろうとした時だ。

「……入れ」

「え?」

返事をする隙もなく、社長がソファから立ち上がり、長い足でこちらへ歩み寄ってきた。

彼は私の腕を力強く掴むと、そのまま引きずり込むように社長室へと連れ込んだ。

背後でバタンと重い扉が閉まる。

「あの、お仕事中だったのでは……?」

私がオドオドと問うと、社長はデスクに戻ることもせず、そのままソファに腰を下ろした。
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