一途な社長に溺愛を教え込まれた夜
悔しさ、情けなさ、そして彼が私のためにしてくれたことへの感謝。

色々な感情が入り混じって、堰を切ったように涙が溢れた。

「美優」

階段の踊り場で、私は腕を引かれた。

追いかけてきたのは、息を切らした黒瀬社長だった。

彼はいつもの冷静な仮面をかなぐり捨て、ひどく狼狽した表情で私を見ていた。

「気にするなと言っただろ」

「でも……! 皆が……皆が、『贔屓だ』って言います。私は自分の力で評価されたかったのに、社長にそんなこと言われたら、今までの努力も全部……」

黒瀬社長は私の言葉を最後まで聞かず、真っ直ぐに私を抱きしめた。

彼の温かさが、泣きじゃくる私の身体に染み渡る。

「人に見られます……っ!」

「構うもんか」

彼は私の肩を強く掴み、その瞳をじっと覗き込んだ。

そこには、仕事の時とは違う、ひどく優しい、私だけの情熱があった。
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