一途な社長に溺愛を教え込まれた夜

第3章 近づく距離

それは、唐突な呼び出しだった。

営業部のデスクで次月のプラン案を練り直していた私の元へ、秘書の美鈴さんが姿を現した。

彼女の完璧な所作と、どこか私を値踏みするような冷ややかな眼差しに、背筋がすっと伸びる。

「高梨さん、社長がお呼びです。至急、社長室へ」

「……はい。すぐに伺います」

美鈴さんが去った後、デスクの周囲から同僚たちの視線が突き刺さるのが分かった。

あの「贔屓」騒動以来、私を見る彼らの目はどこか冷たい。

私は深く息を吸い、社長室へと向かった。

心臓の鼓動は、あの場所へ近づくたびに早鐘のように鳴り響く。

扉をノックし、恐る恐る中へ入る。

黒瀬社長はデスクから立ち上がり、窓の外の景色を眺めていた。

振り返った彼の瞳は、今日はずいぶんと柔らかい光を湛えている。
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