一途な社長に溺愛を教え込まれた夜
「美優、君にお願いがある」

社長はそう言って私の手を取り、そのままソファへと誘った。

肩が触れ合うほどの距離。サンダルウッドの香りが、一瞬で私を支配する。

「今度の週末、あるパーティーに出席する。……君に同行してほしい」

私の思考が、一瞬で停止した。

パーティー。華やかな社交界の場。

私のような、営業部のしがない平社員が行く場所ではない。

「え……私がですか?」

「ああ。君にお願いしたい」

「でも、それはあまりにも不自然です……」

私は困惑を隠しきれずに問い返した。

もし、あの場で私たちがただの「社長と部下」ではないことが露呈すれば。

今の私の立場は、ただでさえ危ういのだ。

「ただの営業の私が、社長のパートナーとして同行するなんて。周囲の人たちからどう思われるか……それに、私にはそんな場にふさわしいドレスだって持っていません」
< 48 / 92 >

この作品をシェア

pagetop