一途な社長に溺愛を教え込まれた夜
「ねえ、ここは退屈だろ。俺とテラスに行かない?」

「え……あのお断りします、社長を待っているので」

「少しくらいいいじゃないか。君みたいな可愛い子が、あんな堅物とずっと一緒にいるなんて勿体ないよ」

男の手が、私の手首を強引に掴んだ。

ぞわっ、と背筋に冷たいものが走る。

社長のサンダルウッドの香りとは全く違う、安っぽい香水の匂いが鼻についた。

「ちょっと、離してください!」

私は必死に手を振りほどいた。

その勢いで、右手で持っていたシャンパングラスが揺れ、中の液体が男性の高級スーツの胸元に零れ落ちた。

「おい……っ! なんてことをするんだ! 失礼だろ!」

「す、すみませんっ!」

私は慌てて手元のナプキンで拭おうとしたが、男性は苛立った様子で私を突き飛ばした。

周囲の視線が、一気にこちらに集まる。
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