一途な社長に溺愛を教え込まれた夜
恥ずかしさと恐怖で頭が真っ白になった。

「弁償できるのか? このスーツ、君の給料じゃ何ヶ月分だと思ってるんだ!」

「本当にごめんなさい、わざとじゃ……!」

「……謝っているじゃないですか」

低く、けれど雷鳴のような声が響いた。

私の視界が遮られ、背後に社長が立っているのが分かった。

黒瀬の瞳は、昼間の会議室の比ではないほど冷たく、凍てついていた。

「黒瀬社長……!」

男性が顔色を変える。

「なんだ、岩渕君か。……私のパートナーに何か用でも?」

「い、いや、これは誤解で……彼女が勝手に……!」

社長は岩渕と呼ばれた男性を一瞥すると、それ以上取り合おうともせず、私の肩を抱き寄せた。

その腕は、昨夜のそれとは違う、怒りを孕んだ強さで私を隠すように守っていた。

岩渕さんは気まずそうに顔を歪め、人混みの中へと逃げ出していく。
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