一途な社長に溺愛を教え込まれた夜
彼は抱擁を解くと、私の顔をじっと見つめた。

その瞳には、仕事で見せる冷徹さや、威厳は微塵もない。

ただ、私を慈しむような深い色が混じっている。

どこまでも優しい人。

あの岩渕という男性に対する峻烈な態度とは対照的に、私に向ける言葉はどこまでも甘く、私の心を融かしていく。

彼は私をエスコートするように、窓辺に置かれた柔らかなソファへと導いた。

私が座ると、彼はサイドテーブルからグラスに冷たい水を注ぎ、私の唇元へと運んでくれる。

「落ち着いたか?」

「ええ……ありがとうございます」

一口飲むと、喉を通り抜ける清涼感が、張り詰めていた神経を少しずつ解いていく。

彼は私の隣に腰を下ろすと、少しだけ身体を傾け、私の顔を覗き込んだ。

至近距離。彼の吐息さえ感じられる距離に、また鼓動が早くなる。
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