一途な社長に溺愛を教え込まれた夜
ソファに横たわる黒瀬慧――慧さんの膝は、驚くほど硬くて、温かい。

その感触に身を委ねていると、まるで自分がこの大きな男の全てに守られているような錯覚に陥った。

「慧さん、私……」

喉の奥から、堰を切ったように言葉が溢れ出そうになる。

酔いのせいだけじゃない。

彼に触れられ、名前を呼び捨てで呼ばれ、こうして二人きりで夜を過ごしている現実が、私の理性を完全に麻痺させていた。

「ん?」

慧さんは私の髪を優しく撫でながら、慈しむような声で問い返してくる。

指先が私のこめかみをなぞり、ゆっくりと耳の後ろへ流れていく。

そのたびに背筋にぞくぞくとした電流が走る。

伝えたい。でも、言葉にするのが怖い。

もしこれが夢なら、言葉にした瞬間に覚めてしまう気がしたからだ。

「……言えないの?」
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