仕事中は嫌な男なのに、残業中だけ声が甘すぎる ~ペン先より俺に恋しろ、と迫られました~
第2話 「耳元の関西弁は反則」
背中越しに聞こえた低く端正な声に、身体がピクンと跳ねた。
「っっ!……えっ?黒川?!」
「よく分かりましたね」
振り返るより先に名前を呼んでしまった。
……いや、だって分かるでしょ。
あんな声、他にいない。
「というか、こんな時間にうちのフロアで何してるの――っひゃあ!」
質問を遮るように、頬に缶コーヒーの冷たさがひろがる。
「ここ最近、ずっと残業続きだったでしょう?」
「チッ……分かってるわよっ、でもあと少しで思い付きそうなのっ」
「白越さん、休憩も仕事のうちですよ」
「もうちょっとしたら帰るわ……コーヒーありがとう」
缶コーヒーを置いて、パソコンに向き直る。
「はぁ……」
溜め息とともに、くるっとイスを回された。
左右の肘掛けに手をついた黒川が、ゆっくり顔を覗き込んでくる。
距離が近い。
声だけじゃない。
今は吐息まで届きそうだった。
「あんま、根詰めんなや、あほ」
「っ!……ちょっ」
「ほんま、そういうとこな」
「黒川っ……」
いつもより低く囁くような声が、耳を揺らして胸をふるわす。
黒川が小さく笑った。
「耳?それがどうしたん?」
「そんな近づかなくても、聞こえてるからっ」
身体の力が抜けてしまったのか。
それとも、黒川の腕に囲われているせいなのか。
パソコンに向き直りたいのに、動けないまま。
その間にも、彼の容赦ない声攻めが続く。
二人きりのフロアに、黒川の声がやけにクリアに響く。
「そんな顔して睨んでも怖ないわ」
「っ……」
「真っ赤やし、何やその涙目……」
「白越、そんな隙見せてええの?」
ぞくり。
背筋をなにかが駆けぬける。
(こいつ、絶対わざとだっ)
私がぷるぷる震えているだけなのを良いことに。
関西弁という素のギャップに、呼吸が乱れていく。
これ以上、顔を見られたくなくて、精一杯顔を仰け反らした。
「いつもの口調は……どこいったのよっ」
「……なに、丁寧語のほうがええの?」
「っっ!……えっ?黒川?!」
「よく分かりましたね」
振り返るより先に名前を呼んでしまった。
……いや、だって分かるでしょ。
あんな声、他にいない。
「というか、こんな時間にうちのフロアで何してるの――っひゃあ!」
質問を遮るように、頬に缶コーヒーの冷たさがひろがる。
「ここ最近、ずっと残業続きだったでしょう?」
「チッ……分かってるわよっ、でもあと少しで思い付きそうなのっ」
「白越さん、休憩も仕事のうちですよ」
「もうちょっとしたら帰るわ……コーヒーありがとう」
缶コーヒーを置いて、パソコンに向き直る。
「はぁ……」
溜め息とともに、くるっとイスを回された。
左右の肘掛けに手をついた黒川が、ゆっくり顔を覗き込んでくる。
距離が近い。
声だけじゃない。
今は吐息まで届きそうだった。
「あんま、根詰めんなや、あほ」
「っ!……ちょっ」
「ほんま、そういうとこな」
「黒川っ……」
いつもより低く囁くような声が、耳を揺らして胸をふるわす。
黒川が小さく笑った。
「耳?それがどうしたん?」
「そんな近づかなくても、聞こえてるからっ」
身体の力が抜けてしまったのか。
それとも、黒川の腕に囲われているせいなのか。
パソコンに向き直りたいのに、動けないまま。
その間にも、彼の容赦ない声攻めが続く。
二人きりのフロアに、黒川の声がやけにクリアに響く。
「そんな顔して睨んでも怖ないわ」
「っ……」
「真っ赤やし、何やその涙目……」
「白越、そんな隙見せてええの?」
ぞくり。
背筋をなにかが駆けぬける。
(こいつ、絶対わざとだっ)
私がぷるぷる震えているだけなのを良いことに。
関西弁という素のギャップに、呼吸が乱れていく。
これ以上、顔を見られたくなくて、精一杯顔を仰け反らした。
「いつもの口調は……どこいったのよっ」
「……なに、丁寧語のほうがええの?」