愛しい俺様パイロットと、今日もいちゃいちゃ舌戦中
訓練の日程を終えてトレーニングセンターを出ると、最愛の夫が車で迎えに来ていた。車の中で手を振る彼に笑みを返し、助手席に乗り込む。
「お疲れ。今日も何事もなかったか?」
「はい。みんな頑張ってましたよ」
訓練に取り組むCAたちの真剣な眼差しを思い出し、深く頷く。
知隼さんはフッと苦笑して、「違うよ」と言いながら、片手を助手席に伸ばしてくる。
「俺が聞いたのは、お前の体調は大丈夫かってことだ」
彼の手が、ささやかに膨らんだ私のお腹に触れる。
膝の上で軽く揺れたのは、バッグにつけているマタニティマーク。私は妊娠中で、先月安定期に入ったところだ。
結婚からおよそ二年半で授かった待望の第一子。知隼さんもかなり喜んでくれて、時間が合う時は私の体調を気遣い、こうして車で送迎してくれる。
トレーニングセンター周辺は海に囲まれてとても景色がいいので、窓からそれを眺めるのが車で帰宅する時の楽しみだ。
「心配ないですよ、深澄キャプテン」
過保護な彼を冷静にさせるために仕事時のように呼び掛けると、知隼さんもホッとしたように頷いて、車を発進させる。
私がトレーニングセンターの教官になったように、彼もまた副操縦士だった立場から機長へとキャリアアップを叶えている。
袖に金色のラインが四本入った機長専用の制服に身を包んだ彼を初めて見た時は、言葉も忘れてつい見とれてしまった。