紫陽花の短編集物語#2
きみの隣、演技じゃないよ
第1話 放課後の部室、何気ない提案
演劇部の大会用シナリオは“初恋のすれ違い”がテーマ。
だけど果歩は、うまく“好き”を演じられない。
果歩「“本気で好き”…って、どうやったら声に出せるのか、わかんなくて」
透「…じゃあ、やってみる?」
果歩「え?」
透は、急に真顔で言った。
「今日から放課後だけ、“片想いしてるフリ、しようぜ。相手は…俺」
【きみの隣、演技じゃないよ 続く】
第2話 ただの“ごっこ”のはずだった
LINEでの「おつかれ!」
下校時の「手、寒くない?」
ちょっとした演出のつもりだった。
でも、果歩は知ってしまう。
透の視線が、自分の台本よりもあたたかいこと。
透もまた、演技の中で忘れていた。
「なんで…稽古じゃないときも、果歩のこと考えてんだろ」
【きみの隣、演技じゃないよ 続く】
第3話 稽古最終日、“片想い”がセリフを超えた日
文化祭直前。
最後の練習で、クライマックスのセリフ。
果歩「…好き、だよ。ちゃんと、伝えたくて」
透「……それ、セリフじゃないよな」
果歩「……うん。透先輩も、演技じゃないよね」
静かにうなずいて、ふたりは手をつないだ。
拍手も台詞もない、本気の恋の開幕だった。
【きみの隣、演技じゃないよ 続く】
第4話 照明が落ちても、あなたのセリフが聞こえる
文化祭当日。
体育館の裏、開演30分前の舞台袖。
ドキドキしている果歩の手を、透がそっと取った。
透「稽古のときより、手、冷たくなってるな」
果歩「そりゃあ、本番だもん…緊張してるよ」
透「じゃあ…大丈夫って、言わせてくれない?」
果歩「……言わせないよ。“本番だから”って、甘やかされると泣いちゃうから」
ふたりは見つめあって、小さく笑う。
それは“演技じゃない気持ち”を確かめあうような、静かな息づかいだった。
【きみの隣、演技じゃないよ 続く】
第5話 舞台の上、観客の前で
クライマックス。
果歩のセリフは、「どうせ、好きになっても報われないって、思ってた」
それに返す透のセリフは、「報われないって、誰が決めたんだよ」
その瞬間。
透「俺はずっと、あの日から“片想いしてるフリ”なんか、してなかった」
果歩「……っ、それ、台本にない」
透「言いたくなっちゃった。本当のこと、初恋の相手に」
観客席が息をのむ。
でも果歩は、台本の中じゃなく、自分の声で返した。
果歩「……じゃあ、本当のこと言う。私も、うそなんか、ひとつもなかったよ」
【きみの隣、演技じゃないよ 続く】
最終話 カーテンコールのあと
舞台が終わっても、手を離さなかった。
果歩が透を見つめて、照れくさそうに言う。
果歩「ここからはもう、“片想いごっこ”じゃなくてもいい?」
透「むしろ…“両想いリアル”でお願いしたいくらい」
ふたりの恋は、台詞じゃない言葉で、これからを演じていく。
【きみの隣、演技じゃないよ 完結】
演劇部の大会用シナリオは“初恋のすれ違い”がテーマ。
だけど果歩は、うまく“好き”を演じられない。
果歩「“本気で好き”…って、どうやったら声に出せるのか、わかんなくて」
透「…じゃあ、やってみる?」
果歩「え?」
透は、急に真顔で言った。
「今日から放課後だけ、“片想いしてるフリ、しようぜ。相手は…俺」
【きみの隣、演技じゃないよ 続く】
第2話 ただの“ごっこ”のはずだった
LINEでの「おつかれ!」
下校時の「手、寒くない?」
ちょっとした演出のつもりだった。
でも、果歩は知ってしまう。
透の視線が、自分の台本よりもあたたかいこと。
透もまた、演技の中で忘れていた。
「なんで…稽古じゃないときも、果歩のこと考えてんだろ」
【きみの隣、演技じゃないよ 続く】
第3話 稽古最終日、“片想い”がセリフを超えた日
文化祭直前。
最後の練習で、クライマックスのセリフ。
果歩「…好き、だよ。ちゃんと、伝えたくて」
透「……それ、セリフじゃないよな」
果歩「……うん。透先輩も、演技じゃないよね」
静かにうなずいて、ふたりは手をつないだ。
拍手も台詞もない、本気の恋の開幕だった。
【きみの隣、演技じゃないよ 続く】
第4話 照明が落ちても、あなたのセリフが聞こえる
文化祭当日。
体育館の裏、開演30分前の舞台袖。
ドキドキしている果歩の手を、透がそっと取った。
透「稽古のときより、手、冷たくなってるな」
果歩「そりゃあ、本番だもん…緊張してるよ」
透「じゃあ…大丈夫って、言わせてくれない?」
果歩「……言わせないよ。“本番だから”って、甘やかされると泣いちゃうから」
ふたりは見つめあって、小さく笑う。
それは“演技じゃない気持ち”を確かめあうような、静かな息づかいだった。
【きみの隣、演技じゃないよ 続く】
第5話 舞台の上、観客の前で
クライマックス。
果歩のセリフは、「どうせ、好きになっても報われないって、思ってた」
それに返す透のセリフは、「報われないって、誰が決めたんだよ」
その瞬間。
透「俺はずっと、あの日から“片想いしてるフリ”なんか、してなかった」
果歩「……っ、それ、台本にない」
透「言いたくなっちゃった。本当のこと、初恋の相手に」
観客席が息をのむ。
でも果歩は、台本の中じゃなく、自分の声で返した。
果歩「……じゃあ、本当のこと言う。私も、うそなんか、ひとつもなかったよ」
【きみの隣、演技じゃないよ 続く】
最終話 カーテンコールのあと
舞台が終わっても、手を離さなかった。
果歩が透を見つめて、照れくさそうに言う。
果歩「ここからはもう、“片想いごっこ”じゃなくてもいい?」
透「むしろ…“両想いリアル”でお願いしたいくらい」
ふたりの恋は、台詞じゃない言葉で、これからを演じていく。
【きみの隣、演技じゃないよ 完結】