クールなパティシエが見せる笑顔は私にだけとびきり甘い
家に帰ると、私はさっそくケーキの箱を開けた。
今日も美味しそう。
モンブランを取り出し、フォークを手にする。
そのときだった。
ケーキの上に飾られたホワイトチョコレートの裏側に文字が書かれていることに気づく。
なんだろう。
ひっくり返してみると――
『今度デートしませんか?』
「な、な……」
固まる。
「な、な、な、なんじゃこれぇぇぇ!?」
勢いよく立ち上がる。
心臓がうるさい。
うるさいなんてもんじゃない。
バクバクどころかドコドコ鳴っている。
え?え?デート?冬馬さんが?私を?
混乱したまま部屋をぐるぐる歩き回る。
落ち着こう。無理。落ち着けない。
とりあえずケーキを食べよう。
私は猛烈な勢いでモンブランを完食した。
そして――
気づけば店へ向かって走っていた。
閉店間際だったのだろう。店内の灯りが消え始めている。
シャッターを下ろそうとしていた冬馬さんがこちらを振り向いた。
「と、冬馬さん!」
「わっ」
冬馬さんが目を見開く。
「びっくりした。花蓮ちゃん……どうしたの?」
そして何かに気づいたように頬をかいた。
「あ、もしかして……見た?」
少しだけ照れたような顔。そんな顔、反則だと思う。
私は大きく息を吸った。
そして。
「する!」
「え?」
「デートする!」
数秒の沈黙。次の瞬間――
「ふはっ……あはははは!」
冬馬さんが思いきり笑った。
くしゃりと顔を崩して。楽しそうに。嬉しそうに。
頬には小さなえくぼ。
――あ、これだ。
私がずっと見たかった笑顔。
かっこいいのに、少し可愛くて。
見ているだけで胸が苦しくなる。
「はぁ……」
冬馬さんは笑いながら目尻を拭った。
「まさか、わざわざ返事をしに来てくれるなんて」
そう言って私を見つめる。
「嬉しいな」
その言葉に胸が跳ねた。
そして。不意に何かが引っかかった。
その笑い方。そのえくぼ。優しく名前を呼ぶ声。
『花蓮ちゃん』
頭の奥で、忘れていた記憶がゆっくりと浮かび上がる。
小さな頃よく遊んでいた男の子。
優しくて可愛くていつも手作りのクッキーやマフィンをくれた。
笑うとえくぼができて――初恋だった。
「待って」
私は思わず目を見開いた。
「もしかして……ふゆくん?」
冬馬さんが驚いたように瞬きをする。
それから少しだけ目を細めた。
「……うん。よく分かったね。花蓮ちゃん」
優しい声色であの日と同じ笑顔だった。
今日も美味しそう。
モンブランを取り出し、フォークを手にする。
そのときだった。
ケーキの上に飾られたホワイトチョコレートの裏側に文字が書かれていることに気づく。
なんだろう。
ひっくり返してみると――
『今度デートしませんか?』
「な、な……」
固まる。
「な、な、な、なんじゃこれぇぇぇ!?」
勢いよく立ち上がる。
心臓がうるさい。
うるさいなんてもんじゃない。
バクバクどころかドコドコ鳴っている。
え?え?デート?冬馬さんが?私を?
混乱したまま部屋をぐるぐる歩き回る。
落ち着こう。無理。落ち着けない。
とりあえずケーキを食べよう。
私は猛烈な勢いでモンブランを完食した。
そして――
気づけば店へ向かって走っていた。
閉店間際だったのだろう。店内の灯りが消え始めている。
シャッターを下ろそうとしていた冬馬さんがこちらを振り向いた。
「と、冬馬さん!」
「わっ」
冬馬さんが目を見開く。
「びっくりした。花蓮ちゃん……どうしたの?」
そして何かに気づいたように頬をかいた。
「あ、もしかして……見た?」
少しだけ照れたような顔。そんな顔、反則だと思う。
私は大きく息を吸った。
そして。
「する!」
「え?」
「デートする!」
数秒の沈黙。次の瞬間――
「ふはっ……あはははは!」
冬馬さんが思いきり笑った。
くしゃりと顔を崩して。楽しそうに。嬉しそうに。
頬には小さなえくぼ。
――あ、これだ。
私がずっと見たかった笑顔。
かっこいいのに、少し可愛くて。
見ているだけで胸が苦しくなる。
「はぁ……」
冬馬さんは笑いながら目尻を拭った。
「まさか、わざわざ返事をしに来てくれるなんて」
そう言って私を見つめる。
「嬉しいな」
その言葉に胸が跳ねた。
そして。不意に何かが引っかかった。
その笑い方。そのえくぼ。優しく名前を呼ぶ声。
『花蓮ちゃん』
頭の奥で、忘れていた記憶がゆっくりと浮かび上がる。
小さな頃よく遊んでいた男の子。
優しくて可愛くていつも手作りのクッキーやマフィンをくれた。
笑うとえくぼができて――初恋だった。
「待って」
私は思わず目を見開いた。
「もしかして……ふゆくん?」
冬馬さんが驚いたように瞬きをする。
それから少しだけ目を細めた。
「……うん。よく分かったね。花蓮ちゃん」
優しい声色であの日と同じ笑顔だった。