拳にモノを言わせますけどよろしくて?

14 なぐさめと告白

  ✻


 ぼう然と帰ってきたフェリスベルトのことを、エドゥアルドは無邪気に出迎えた。

「お父さま、お母さま元気になった?」

 エドゥアルドは幼いなりに必死で考えたのだ。リュティシアが心ここにあらずになった理由、あまり遊んでくれなかったわけを。

(お母さまは、()のお母さまのことがきらいなのかな……)

 だって「お母さま」が二人いるなんておかしい。たぶん。どの物語の中でも、カティアやヴァルターの家だって、母は一人だ。
 リュティシアが望むなら、エドゥアルドの母はリュティシアだけでいい。絵はいらない。そう父に訴えたら、フェリスベルトはすぐにリュティシアの元へ行ってくれた。きっとこれで何もかもうまくいくと信じて待っていた。なのにどんよりと青ざめて戻ったフェリスベルトは居間のソファに崩れ落ちてうめいたのだ。

「リュティに、帰れと言われた……」
「え?」
「はあ!?」

 居合わせたカティアとヴァルターが仰天して叫ぶ。どうしてそんなことになるのか。

「フェリスベルトさま、いったい何をしでかしたんですか?」

 ヴァルターの言い方は主人に対して辛辣だった。だがしばらくリュティシアに接してきて、あの大らかな婚約者ならよほどのことがない限りそんなことは言わないと思えた。ならばフェリスベルトの方が何かしくじったに違いない。
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