拳にモノを言わせますけどよろしくて?
 頭を抱えたフェリスベルトはモゴモゴうめいた。

「しでか……いや、その」
「あ……エドゥアルドさま、あちらに行っていましょうか」

 カティアが気を回す。フェリスベルトが仲直りの手段として大人の振る舞いに及んで拒否されたのかと考えたのだ。フェリスベルトは必死に否定した。

「違う! そんなことはしないぞ!」
「じゃあ何があったんですか」

 ヴァルターは疲れ果てた顔だ。仕事以外は不器用な主人だと思っていたが、どうやって婚約者との間をこじらせたのか理解に苦しむ。

「……リュティがいてくれれば肖像はいらない、と伝えた」
「はあ……?」
「エディもそう言ってただろう? リュティだけでいいって」
「うん。お母さまといっぱいあそびたい」

 息子を味方につけて、フェリスベルトは遠い目をした。

「だけど……『必要ないとはどういうことだ』と怒ってしまって」
「ええとリュティシアさまがおっしゃるのは、肖像画のことでございましょうか?」

 ヴァルターはカティアと顔を見合わせる。そっち方面の主張がくるとは想像しなかった。フェリスベルトは目を伏せる。

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