拳にモノを言わせますけどよろしくて?
「……私の言い方の問題だったんだと思う。今さら片づけた言い訳を、ちょっとしてしまってね。ずっと飾りっぱなしだったのは目に入っていなかったからだし今となっては肖像画など不必要だ、と。そうしたら『壁と同じだなんて失礼だ』『産みの母のことを不要と言うのか』と泣き出してしまって」
「泣かれたんですか!? あの方が!?」

 聞かされた方は絶句する。いつもほがらかなリュティシアが涙を流すなんて想像もできなかった。

「リュティ……本当に怒っていたよ。口調が馬鹿丁寧になったからね」

 フェリスベルトはしょんぼり肩を落とす。リュティシアはセミオンのことを話す時などに、とってもご令嬢な口ぶりになる。さっきもその癖が出ていた。
 ということは、かなり怒っている。あるいはこちらに隔意を抱いているのか。出会ったばかりにも少しそんな風だったじゃないか。

「リュティシアさまのそんな癖まで理解なさっているのに、どうして怒らせるんですか……?」

 うっかり責めてしまったカティアの言葉はフェリスベルトには厳しい見方。理解度と対人スキルは別のものなのだから。


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