拳にモノを言わせますけどよろしくて?
「ああエディ、カティアには私がちゃんと言ってあげるから。送っていくわ。心配で来てくれたんだものね」

 立ち上がるとエドゥアルドの手を握る。決意を宣言した。

「お母さまは、ちゃんとエディのこと守りますからねっ」
「うん!」

 王宮内とはいえ、子どもをひとりで歩かせられない。泣きはらした目は人に見られたらみっともないが自業自得だし。
 ――ところが、部屋を出たらそこでフェリスベルトが待ちかまえていた。そりゃこの流れでエドゥアルドが姿を消せば、行き先などリュティシアのところしかない。カティアも連れて、ちゃんと迎えにきたのだった。

「リュティ、すまなかった」

 本日二度目の謝罪をかまし、王弟殿下は青ざめている。それでも退く気はないようだ。

「二人で話したい。ちょっと気分を変えて庭に出よう」
「あら……でも、もう夕刻でしてよ?」
「……まだ怒っているね」

 フェリスベルトが指摘したのはリュティシアの話し方だった。だが本人はその癖に自覚はない。ちょっとツンとした態度を取ってしまったことを言われたのだと思って唇をとがらせた。

「怒ってなんか……エディがなぐさめてくれましたもの」
「私にもなぐさめさせてくれないか?」

 エドゥアルドは空気を読んだかスルリとリュティシアの手を放す。カティアのところにトコトコいって、振り向いた。

「お母さま、あしたまたあそぼうね」
「え、エディ……」
「先に戻っていなさいエディ」
「うん」

 あっさり去っていかれて、リュティシアは宙に浮いた手をカクリと落とす。その手を大事そうに取ったのはフェリスベルトだ。

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