拳にモノを言わせますけどよろしくて?
  ✻ ✻ ✻


「おまつり、たのしみだねお母さま!」

 夏至祭の日、動きやすい半ズボンとシャツでエドゥアルドはピョンピョン跳ねていた。リュティシアもフェリスベルトも港町へ旅をした時のような軽装。家族そろって祭の視察へ出るのだった。

「エドゥアルドさま、くれぐれもご両親さまから離れませんように」

 護衛のトルカートが注意する。くだらないゴロツキにエドゥアルドを誘拐されてしまったのは、護衛たちの痛恨のミスとして脳裏に刻まれていた。

「本日は、それとなくではなくガッチリ警固させていただきます」
「あ……ウチの息子がすまん」

 フェリスベルトは苦笑いだ。カニを追いかけて視界から姿を消した前科を、エドゥアルドは一生こすられ続けるに違いない。
 だがそんな、自然に目を向ける資質は伸ばしてやりたいとも思った。
 今日は王宮前広場で王立結晶院と産業省の共同研究発表がある。結晶〈冷〉を使用した凍結機械のデモンストレーションだ。開発を指示した者としてフェリスベルトは立ち会うつもりだし、エドゥアルドも面白がるだろう。
 だがそれはリュティシアへのアピールでもあった。フェリスベルトはこんな仕事をしている、という。結晶動力に目を輝かせたリュティシアなのだし、気に入ってくれるのではないか。つまりフェリスベルトは、愛しい婚約者から仕事の面でも尊敬されたいのだった。

「じゃあ、お手々をつなぎましょうかエディ」
「うんっ」
「走るのはナシよ。疲れてみんなの前で抱っこされるのは恥ずかしいでしょう?」
「……ぼく、もうおっきいもーん!」

 部屋にいる時には甘えまくってリュティシアにべったりのエドゥアルドなのに、外では一人前に振る舞いたがる。それも成長だ。
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