拳にモノを言わせますけどよろしくて?
「……灯火として燃えていたのも、反転の魔法がかかっていたのですか?」
「ああ。あの燭台には反転の陣が描かれていてね。だからさわらないようジェレミアスが止めたろう? 普通の結晶ならなんともないはずだけど使用中だったから」
「まあ……まだまだ知りたいことがいっぱいありますわね!」

 リュティシアの瞳が輝く。とりあえず、街の探検に出よう。
 ゆったり歩くフェリスベルトとリュティシアに挟まれて、エドゥアルド。後ろにユーニスとカティアが従い、数歩離れて護衛たちがゆるく一家を囲む。
 都の人々に王弟の姿はよく知られているようだった。あちこちから好意的な歓声が上がり、手も振られる。フェリスベルトはたまに手を上げて応えていた。

「フェルさま、人気ですのね」
「そうかな? 兄上がつつがなく都を守っているから、そのおこぼれだよ」

 それはある。だが民からしてみれば、派手なところがなく産業開発に取り組むフェリスベルトはありがたい王族だ。それに妻を亡くしてから六年もひっそりと独身を貫き息子の養育に心をくだいていたのも好感度が高い。
 そのフェリスベルトがとうとう後妻を迎えるとあって人々はリュティシアに興味津々だ。「王女殿下、ばんざーい」と声が聞こえて、リュティシアは頬を赤らめた。小さく手を振ってみる。

「リュティも人気じゃないか」
「それこそフェルさまのおこぼれですわ」
「お父さまもお母さまも、ぼくだーいすき!」

 ニコニコのエドゥアルドがすべてをまとめてしまい、周囲がドッと湧いた。

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