拳にモノを言わせますけどよろしくて?
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 広間での式典の最中に天井から落ちた燭台は、鎖の一部が劣化して切れたのだと判明した。かなり古い物ではあるので、ひとまずは事故だと周知されている。
 しかし危険にさらされたのが王太子夫妻なだけに疑念と憶測を呼んでいた。すわ暗殺か、と宮廷が色めき立ったのだ。
 もしや犯人なのではと噂されてしまっている筆頭は――第二王子のセミオンなのだが。

「私はあんな姫と結婚したくありません!」

 自分の状況をわかっているのかいないのか、我を曲げようとせず父王に談判しているところだった。
 リュティシアに殴られた鼻には赤い痕が残っていてやや痛々しい。そんな息子をながめ、王は疲れた声だった。

「リュティシア王女はもうアルヴェインに来ているんだぞ。今さらどうしろと言うんだセミオン。この婚姻は国同士の約束、それを破棄するとなれば多大な賠償を要求されても仕方ない」
「……帰国させられないというなら、他の王族との結婚にすげかえればいいじゃないですか」

 息子の無茶な提案に王は眉間をもむ。
 今の王家に未婚の男子はセミオンしかいなかった。臣下に降りて公爵家を興した元王族でなら相手を探せなくはないが、それを王族に含めてガルディア側が認めてくれるとは思えない。
 ガルディア王国は小国ながら、武にすぐれ独立を守ってきた歴史があった。もめたい相手ではない。

「おまえしかおらんだろう。我がままを言うな」
「いやいますよ、ちょうどいい人が――奥方を亡くし、息子がいる。ねえ?」
「セミオン、それは……」
「はは、本当にピッタリだ。あの子は〈育成〉の加護を持つ姫に育ててもらえばいいんです!」

 セミオンは軽く言い放った。

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